2017年3月12日日曜日

Strymon Big Sky リバーブのまとめ

 以前、記事にしましたTime Line。
 http://electronica-mini.blogspot.jp/
 と同じメーカですがこちらはリバーブです。

 Strymon Big Skyの紹介です。
 (ストライモン ビッグスカイ)


 日本代理店のリンク
  http://www.allaccess.co.jp/strymon/bigsky/

 このBig Skyを手に入れるまで私が使用していたリバーブは、、、
 EHX Cathedral
 Lexicon PCM80
 YAMAHA DR100
 この3つでした。
 参考:Reverbについての雑感

 この中にBigSkyが加わりましたが、私の中でのStrymonの立ち位置はLexiconと同格の扱いになっています。でも、それぞれのリバーブに特徴があるので”近い存在だけど異なるもの”という印象を持っています。

 BigSkyの特徴は他のリバーブにはない澄み切った残響音にあると思いますが、EHX Cathedralと比べるとリバーブの反応が緩やかで落ち着いています。それも特徴の一つと言えます。
 私はこの特徴を生かして、シンセパッドやコーラスなどあまり目立たせたくない音を作るときによく使います。このときミキサーのSEND(AUX)を使うのではなく、シンセアウトに直接つないで薄くかけるという感じで使います。
この使い方だと原音に忠実、あるいは音クセなく音作りが出来ます。
 単なるReverbエフェクターというよりも、音作りのためのエフェクターという使い方になります。




 ・・・ テスト1 ・・・

 ここでは、一番よく使うプリセットのPlate Reverbを基準に比較したいと思います。
 プレートリバーブとは大きな鉄板を使ったリバーブのことですが、これが何十年も前から使われているリバーブで、有名スタジオに行けば置いてあるところがあるそうな?
 しかし、自宅にデカイ鉄板を置けば大変なことになるので(シンバルくらいのサイズでも作れるらしい)、シミュレートされたものを使うことになります。
 なぜシミュレートしてまで使うのかというと、クセの少ない滑らかさが出せるからというのが理由としてあるようです。
 とにかく、ほとんどのリバーブはこのプレートリバーブをシミュレートしたプリセットを持っているので(もってないものもある)、私は楽器屋でリバーブを触るときには必ずと言っていいほどPlateリバーブをチェックします。


 さて、話しを元に戻して・・・。
 TimeLineのときと同様に簡単な曲を作って、それぞれのリバーブの違いを確認したいと思います。
 曲の流れは、xOxbOxのベースとMIDIMINIで作ったアルペジオでスタート。途中リズムを増やしていき、リバーブタイムを長くして短くするという変化をもたせています。リズムはMiamiを使いました。
 xOxbOxとMIDIMINIにSEND(AUX)でリバーブを通して、軽くリズムのウワモノにリバーブをかけています。あと、リバーブの跳ね返り(DelayTime)は裏打ちにあわせています。


 /// Strymon BigSky ///

 まず最初はBigSkyです。
 スムーズで滑らかなリバーブが特徴ですが、以下で紹介する2つのリバーブと比べるとやはり控えめな印象です。この録音では設定で低音を強調して、音を突っ込気味で使っています。プレートタイプはLargeにしました。


  /// LexiconPCM80 ///
   
 ずいぶん長くお世話になっているリバーブです。Cathedralを手に入れるまではこればかり使っていました。
Lexiconの特徴は設定画面を見るとわかるのですが、低域処理に特化しているところです。そのため、深く暗い印象の空間を作ってくれます。
 録音ではルームサイズを最大にして低音を少し強調しています。

 リバーブの印象についてですが、BigSky同様スムーズで滑らかです。しかし、こちらのほうが残響音に神秘的な雰囲気があります。(湿度の高い印象)
 いや、これくらいの違いならBigSkyでも設定を変えれば対応できるんじゃないか?と思うくらいの違いです。ただし、Lexiconのほうが細かな設定が出来ます。


 /// EHX Cathedral ///

 泣く子も黙るエレハモのカテドラル。
 ライブのときは必ずこれを使っています。いや、普段の制作でもお世話になることが多いです。ホント、。。なぜこればかり使うようになってしまったのかを考えると、4つのノブを回すだけでかなり大きく変化するからだと思います。
 この4つのノブが全てを物語ってくれます。
 でも、大胆な反応と大げさな変化が特徴なので人によっては苦手な方も。

 リバーブの跳ね返りや残響音のインパクトが強いので、音数を増やしても埋もれることがありません。ライブで使う理由はここにあります。
 その代わり、少しうっとおしく感じることもありますが・・・。

 とにかく、エレハモの社長のようなリバーブです。
 という言葉が私の中ではシックリきますw



 ・・・ テスト2 ・・・

 プレートとは別にスプリングリバーブも比べてみました。
 (比較するのはBigSkyとCathedralの2つです)

 スプリングリバーブとは、箱の中にスプリングを入れてそこに電気信号を通すことでリバーブのような残響音を作る装置のことで、ベンチャーズのパイプラインで調べれば「あぁ~この音か」ってなると思います。
 何度か本物のスプリングリバーブを触ったことがあるのですが、揺らすとグワングワンなりますw。そのためライブ会場では振動を拾って独特な響きを生み出すとも言われていて、今でも根強い人気があるリバーブです。

 テスト1と同じように簡単な曲を作りました。
 そして、xOxbOxとMIDIMINIにSEND(AUX)でリバーブを通し、リズムのウワモノにも軽くかけています。こちらのテストでも同じくリバーブの跳ね返り(DelayTime)は裏打ちにあわせています。そして、トーンはスプリングの感じを確認しやすいように明るめの設定にしています。


 /// Strymon Big Sky ///
 まず最初はBigSkyです。
 Big Skyのスプリングシミュレートは面白くて、パラメーターを見るとたくさんの設定が用意されています。
 一つはDwell(ドゥエル)というモードで、CLEAN,COMBO,TUBE,OVERDRIVEの4種類があり、内臓プリアンプのドライブをコントロールすることが出来ます。
 もう一つはNumber of Springs(スプリングの数)で、スプリングの数を増やすことが出来ます。


 1、最初はスムーズでクリアな音を目指して、Dwellの設定は"CLEAN"でスプリングの数は最大の3に設定して録音しました。
 
 非常にスムーズなので、使い方によってはスプリングリバーブだと解らないかもしれません。


 2、次にピチャピチャ跳ねる感じを出したいので、Dwellの設定を"TUBE"にしてスプリングの数は1にして録音しました。
 
 スプリングのドライブした音が聴こえるのがはっきりとわかります。


 3、次はお気に入りの設定なのですが、Low Endは右いっぱいでトーンは少し暗めに。あとはDwellを"COMBO"でスプリングの数は2に設定します。
(DelayTimeは長めにしています)
 
 この設定だと、リバーブタイムを伸ばしても邪魔をすることのないインパクトのあるスプリングリバーブに仕上がります。

 それぞれ聴き比べてみるとわかりますが、Big Skyのスプリングリバーブは設定でかなり変化します。



 /// EHX Cathedral ///
 次にEHX Cathedralですが、スプリングのプリセットはGRAILとACCUの2種類。

 (上から1つ目と2つ目)

 一つ目のプリセットのGRAILはあのHoly Grailと同じとのこと。
 
 Holy Grailはエレハモ公式でディック・デイルが本物と区別がつかなかったと言ってるくらいスプリングリバーブに似ているそうな。(Holy Grailもスプリングリバーブのシミュレート)ディック・デイルと言えば「Misirlou」(ミザルー)を聴いてもらえれば解ると思います。


 もう一つのACCUは今でも売ってるらしい、有名なアキュトロニクス製スプリング・リバーブのシミュレート。
 
 GRAILと比べるとトーンが低めで落ち着いた感じになります。
 2つを比べると好みの問題になりますが、私はGraillタイプをよく使います。


 ・・・ 比べてみて ・・・
 BigSkyとCathedralを比べてみると、やはりStrymonのほうが設定範囲が広いこともあって、スプリングリバーブの特徴を上手く生かしているように感じました。
 ただ、Cathedralは高い音域の反応がいいのでリズムにかぶせるとキレイな音に仕上がります。
 これくらいならBigSkyでも設定でどうにかなるのでは?と思ったのですが、テスト1でも話したとおりCathedralに比べるとBigSkyは反応が穏やかなので、同じようにはいきませんでした。(BigSkyでまねしようとすると金属的な硬い印象の音になる)

 (そういえば昔、スプリングリバーブを使った曲をリリースしたことがあるのだけど、、、なんて曲だったか;・・とにかくピチャピチャ鳴らしてた記憶が)




 ・・・ Reverb ・・・
 ここではStrymon BigSkyの12種類のリバーブタイプを紹介します。
 私はPlateとShmmerをよく使いますが、たまにSpringやCloudで実験的な音加工を目的として使うこともあります。

 今回もTimeLineのときと同様にxOxbOxを音源にして、リバーブを確認しました。


 /// ROOM ///
 その名のとおり少し広めの部屋にいるような印象になるリバーブです。ルームサイズは2種類ありStudio・Clubに分かれています。





 /// HALL ///
 ROOMとは違いこちらはコンサートホールのような印象のリバーブで、より深いリバーブになります。こちらも2種類のルームサイズがありConcrt・Arenaに分かれています。




 /// PLATE ///
 このPLATEは一番よくつかうモードで、テスト1で紹介したとおり残響音にクセのない深いリバーブが特徴です。
 このモードにもルームサイズに似た設定がありますが、ここではプレートサイズになります。Small・Largeの2種類ありますが、どちらもスムーズで滑らかな残響音が特徴です。
 面白いのはDECAYノブを最大に回すと、発信したかのように残響音が伸びていくところです。



 /// SPRING ///
  
 スプリングリバーブのシミュレートになります。
 テスト2で紹介したとおり、内部設定でDWELLとNUMSPRというのがあり、ここでスプリングタイプを設定できます。スプリングを強調したシミュレートのように感じます。



 /// SWELL ///

 このSwellモードではエフェクト音のアタックタイムをコントロールすることが出来ます。
 そして、Swell WetとSwell Dryの2種類の設定でドライ音をコントロールすることが出来ます。Swell Dryに設定すると原音(ドライ音)のアタックを削って滑らかなアタックタイムになります。



 /// BLOOM ///

 このBloomモードでは、設定を大きくするとリバーブタイムを長くしたようになります。アタック&リリースの長い反応の緩やかなリバーブが出来上がります。
他の音を邪魔しないスムーズなリバーブになるので、シンセパッドやストリングスなどを通すと広がりのある音にしてくれます。



 /// CLOUD ///

 非常に繊細で緻密な残響音を聴かせてくれるリバーブです。
 Big Skyの処理能力の限界に挑戦しているのではないか?と思うくらいキレイな残響音を聴かせてくれます。
 Diffusionを最大、Decayを最小、MODは50%くらいの設定にして、トーンを上げいくとちょうど冷たい清流に入ったかのようなリバーブになります。



 /// CHORALE ///
 
 取り説にはクワイアーがバックグラウンドで歌っているようなリバーブになるとのこと。名前のとおり音についてくる感じでバックコーラスが歌ってくれます。
 さらにMODノブを回すとノリのいいコーラスに変身しますw



 /// SHMMER ///
 このShmmerモードはStrymonのリバーブを有名にさせた、と言ってもいいかも知れません。BigSkyはこのモードがあるから手に入れたようなものです。
 そして、Strymonの後から各社Shmmerモードを搭載したコンパクトエフェクターが出てきたように思います。

 Shmmerモードの中身はリバーブの残響音にピッチシフトが入ったようなものなのですが、ピッチシフトが2種類(Shift1,2)あって複雑で綺麗なリバーブを作ってくれます。
 さらにパラメーターにはModeをコントロールするものがあり、INPUT,REGEN,IN+REGの3種類あります。
 日本語取り説ではそれぞれ、、、
 ・INPUT  リジェネレーションなしの入力Shmmer。
 ・REGEN  リジェネレーションありのタンクShmmer。
 ・IN+REG  入力Shmmer+リバーブ・タンクで再生。
 と書いてあるのですが、ちょっとよくわからない・・・。
 たぶん?ここで言う"リジェネレーション"とはフィードバックのようなもので、ピッチシフトしたShmmerをどのように再生するのかという意味だと思います。

 もうひとつ、Modulation(MOD)モジュレーションのほうは、4 層オシレーターを使用してリバーブ・タンクのディレイ・ラインにモジュレーションを加えると書いてあります。一番右下のノブを回すとShmmerにモジュレーションが加わって面白い変化がおきます。
 


 /// MAGNETO ///
 MAGNETO(マグニート)モードですが、これはどちらかというとリバーブよりもエコーと言ったほうがいいように思います。
 マルチヘッドタイプのテープエコーをシミュレートしたとのことで、ヘッド数を3,4,6の3種類から選択できます。
 中身はTimeLineのテープエコーのシミュレートと似ていますが、こちらはリバーブに特化していて、ビンテージな雰囲気が出ます。 



 /// NONLINEAR ///

 このリバーブはちょっと特殊なリバーブ。
 パラメーターがたくさんあって複雑でわかりにくいですが、適当に触っていればわかるでしょう~。投げやりになってみるw

 とりあえず、、、
 ノンリニア・ジェネレーターというのがあって、ここからレイトリバーブにリバーブ音が送られるそうな。Pre-Delayを上げていくと、その送られる音にフィードバックを加えることが出来るので発振したような音になります。さらに、そのレイトリバーブに送られる音は、サウンド・シェイプの設定で変化を加えることが出来るというもののようです。

 次はDiffusion(拡散)ですが、ノンリニア・ジェネレーターの残響成分の粒子の細かさを設定するもので、+にするとより細かくなります。

 ここからはレイトリバーブの設定。
・Late Decay 減衰時間を調整。
(ようするに残響音のリリースタイム)
・Late Level レイトリバーブの音量の調整。
・Mod Speed レイトリバーブのモジュレーションの設定で、これと一緒に右下のMODノブを回すとモジュレーションが大きく変わります。

 要するに、、、2種類のリバーブが複雑に入り組んでいるということでしょうか?よくこんなリバーブを考えたなぁって思うくらい面白いリバーブです。



 /// REFLECTIONS ///
 Reflections(リフレクションズ)
 取り説には音響心理学を利用した・・・と書いていますが、小さな部屋を再現したようなリバーブになります。
 ただ、残響音の位置や部屋の形状までコントロールできるので、一風変わったリバーブといえます。

 ん~あまり使うことがないかも・・・。



 /// キャビネット・フィルター /// 

 BigSkyの背面についているフィルタースイッチのことですが「よくぞ付けてくれた!」と言いたくなるようなフィルターです。
 これはスピーカー・シミュレーターですが、ギターキャビネットを通したようなサウンドになります。
 エフェクトOff状態でこのスイッチをONにするといい感じで歪んだ音が出ます。
(エフェクトON状態でもシミュレートは有効)
 動画ではありませんが、録音しました。

 最初はOffで7~18秒の間はONにしています。


・・・ おまけ ・・・
 ANDROMEDAのアナログシーケンスをループさせて、BigSkyに通したリバーブのテストです。
 動画ではAmbientな感じが伝わりやすいBLOOMとCLOUDを使っています。
 



 ・・・ 最後に ・・・
 Strymonを手に入れてからも、メインのリバーブはLexiconPCM80かEHX Cthedralのどちらかなのですが、最初に話したとおりBig Skyはどちらかというと音加工目的で使うことが多いです。
 繊細で音質劣化がなくて、コンパクトエフェクターなので操作性が良くて取り扱いが楽。そして、エフェクターの付いていないシンセのそばにおいて、すぐに使えるという意味ではかなりの利点があります。

 個人的にはデザインも気に入っています。