3つのDelayを並列 or 直列でつなげることが出来るDelayですが、コンセプトが面白くて使い道が多いエフェクターなので紹介します。
ただし、PCとの連携でいくつか操作性の悪さを持っています。この点については使い道を限定すれば問題ないか・・・と割り切っています。
・・・ PCエディター ・・・
まずはトーンプリントの紹介。
PCソフトを使い細かなエディットをすることが出来ます。そしてiPhone,iPad用のアプリもあります。
問題は本体のプリセット(時計回りにTAPE~PING PONGまでの範囲)がトーンプリントを使ってエディット出来ないところです。
ここで本体のプリセットを自分の好きなように加工できれば面白いと思うのですが、出来ないみたいです。
ただし、TP1~TP4の4つにTonePrintというエディターで作ったオリジナルのプリセットを保存することが出来ます。
このソフトは無料で、本国TCサイトのサポートからダウンロード出来ます。
5 January 2018に最新のものが出ているみたいです。
見た目はこんな感じです。

そして、このソフトがとても面白いです。多少、不満点はありますがそれを埋めてくれるぐらいの魅力はあります。
パラメーターの種類が豊富で特に注目しているところを紹介しますと、Modulationの種類が豊富なのと、DelayのFeedbackのSaturationをコントロール出来るところです。これと同じようにいろいろと出来るエディターはあまり見ません。
もうひとつ面白い機能があります。それは、3つのノブに対して3つのパラメーターコントロールを適用させることが出来るというものです。
少しわかりにくいSSですが、エディター左下の3つのノブそれぞれにマウスクリックをすると、ノブの周りが白く光り3つのパラメータを選択するタブが出ます。↓



そして右のグラフのようなところで、ノブをどれくらい回したらどのレベルまでパラメーターをコントロールするのかを設定します。

たとえばREPEATSを上げていくとFeedbackに歪が加わっていく、MIXレベルを上げていくとローカットフィルターがかかっていく。というような設定が出来ます。
TonePrintの優秀な点はここにあります。
・・・ TonePrintの操作 ・・・
まずは本体プリセットのTP1~TP4のうちどれかを選択。
ここの4つに自分で制作したプリセットを保存することが出来ます。
そしてUSBを使ってPCと接続し、次にEditor画面の左上タブの中で好きなプリセットを選択します。

あとは好きなように加工して、右下のStore to Pedalを押せば本体に保存されます。

今のところそれぞれ、、、TP1にはテープエコー系、TP2はアナログディレイ系、TP3はフランジャー、TP4はコーラスというふうに保存させています。
・・・ TonePrintの問題点 ・・・
最後にこのEditorの問題点を紹介しておきます。
最初に紹介したとおり3つのディレイがあって、ここのトルグスイッチを動かすことで3つそれぞれのDelayをエディット出来るという仕組みになっています。

しかし、ここのトルグスイッチを動かすとなぜかエディターのパラメータが初期化されてしまいます。
たとえばdelay1でエディットしたあと、delay2のエディットにとりかかりやはりdelay1のフィードバックを下げたいという場合、トルグスイッチを動かすとdelay1が初期化されてしまっているためフィードバックをコントロールするということが不可能になります。

これを回避するには、まずdelay2のエディットに取り掛かる前にTonePrint右上にあるStoreボタンを押してdelay1のパラメータを保存します。そのあとdelay2にとりかかり、変更が必要になった場合delay2のパラメーターを保存して、それからdelay1にスイッチを切り替えて保存したパラメーターを呼び出しエディットするという流れになります。
そうです、非常に面倒です。
トーンプリントは3つのdelayをまとめて保存出来るのではなく、それぞれのdelayを個別で保存するスタイルになっています。ここに問題があります。
この初期化は右にあるSerial or Parallelのトルグスイッチを動かしてもなります。

今後のバーションアップか何かで改善されることを願います。
・・・ ハード面での問題点 ・・・
まずFlashback Triple DelayはMixノブを最大にしても原音が聴こえます。そのためミキサーのセンドリターンで使う場合は少し手を加える必要があります。
このように原音が聴こえるタイプは比較的安いエフェクターで良くみますが、コスト的な意味でこうなっているのでしょうか?
Mixのドライ&ウェットですが、ケースをトルクレンチで開けるとキルドライスイッチがあります。
このスイッチを入れるとキルドライになるのですが、このとき原音が消えるためMixノブを0にすると音が出なくなります。
トーンプリントを使ってキルドライスイッチを操作できるのですが、エディターで本体プリセットを操作することが出来ないためこのようになっています。
今のところAUXでこのエフェクターを使うことはないのでキルドライスイッチはもとに戻しています。
・・・ delayのクオリティ ・・・
Delay単体としては良くもなく悪くもなくです。ただ、コストパフォーマンスが高いと言えます。
私はこれをDelayとして使う可能性は低く、どちらかと言うと音作りのためのエフェクターとして使うのが主になりそうです。
トーンプリントという便利な機能があるにもかかわらず、ソフト自体の使いにくさが原因でトーンプリントの魅力を半減させてしまっているのが残念です。
トーンプリントの利点を考えるとFlashback 2 delayのようにDelayが1つのシンプルなタイプのほうが使いやすいかもしれません。
今のところリバーブ前にFlashback Triple Delayを通して奥行きを出す目的で使うのが定着しています。
こちらはTX802からモノラルでFlashback Triple Delayを通し、ミキサーのセンドリターンでリバーブを2台使っています。
あとは飛び道具的な使い方を模索しているところですが、どちらかというとFlashback Triple Delayは飛び道具的な立ち位置だと使い道が広がりそうです。