2018年9月30日日曜日

Octatrack (Mk2) 雑感



 Octatrack(Mk2)を導入して1ヶ月が過ぎたのでとりあえず一息おいて感想を書いておこうと思う。まだ深く理解していない点は飛ばしているが把握している範囲は書いたつもりだ。

 もしかしたら勘違いしているところがあるかもしれない。間違っているときは確認したら誰にも気づかれないように修正する。





 ❚ Octatrack導入物語 
 なぜOctatrackを導入したのかという話をしておこう。

 昨年Digitaktを導入したのだがこいつはステレオサンプリングが出来ない。
 そこでOctatrackの必要性を感じたので購入を考えていた・・・、などと言いながらDigitaktだけでもなんとかなるというのは事実。それにOctatrackの使い道っていうのは誰に聞いてもいまいち”パッ”としない返事が返ってくる。そんなわけでしばらくはDigitaktだけを使うというスタイルで遊んでいたのだ。

 あれから1年以上が経過。

 DigitaktのサブマシンとしてElectribe SXを使っていたのだが、どうも挙動がおかしくてこいつはライブで使えないってなった。Electribe MX & SXはおよそ3年でパッドの接触が悪くなったりして、そのつど自分でメンテして直してきたがそれでも間に合わないレベルになってしまった。ようは寿命が来たってこと。
 そんなわけで日本のメーカーで代わりになる納得のいくものを探していたのだが、どれも3年で壊れるんだろうなって作りのものばかりだ。日本人なので日本のメーカーをひいきにしているのもあって・・・あえて”どれ”とは言わないでおく。

 私のようにハードに使う人にとって音はもちろんだが耐久性があるということも重要な選択肢になる。
 そこでElektronが出てくるのだがElektronの製品は昔から良いものを作っているので信頼している。それにElektronの製品を触ると確実にハードだけで制作する人のことを考えているなって思う。
 私はDAWを使って制作することがないためDigitaktでこの製品コンセプトの恩恵をすごく受けている。

 そして先月、Octatrackを手に入れたってわけだ。






 ❚ Octatrack考察 
 ここからはOctatrack(Mk2)を手に入れようかと考えている人のためにざっくりと適当に説明する。
 Octatrackは8トラックのサンプリングした音を再生するマシーンで、高機能なMIDIシーケンサーが8トラックついてくる。
 Octatrackはリアルタイムにサンプリングして即座にループ再生が出来る点を見るとルーパーという見方も出来る。そもそもサンプリングタイムが長いので簡単な8トラックレコーダーという見方もできるだろう。

 あ~なるほど。

 面白いことに私の周辺ではOctatrackを持っている人が多い。
 しかし、現状Octatrackとはなんなのか?という話になると特に答えは返ってこない。実際、持っているけどあまり使っていないという人が多いのも事実。
 おっと、私は持っているだけ使ってない人に対してあーだこーだ言うエコノミック・アニマル的発想はないので安心してほしい。

 そんなOctatrackは客観的に見るといったい何なのかよくわからないが、とりあえずステレオサンプラー&ミキサーに見える。するとこんな疑問の声がどこからともなく聴こえてくるのだ。

 「PCでいいじゃん」(小声で)

 ようするに、同じ値段でMacBook Proが買えるのになぜOctatrack(MkⅡ)なのか?という話し。そうそうiPad Proという選択肢もある。MacBookにこだわらないのであれば、少しスペックの良いノートPCにオーディオインターフェイスとMIDIコンをあわせてもおつりが出る。
 私のようにハード環境だけで制作しているのであればすぐに答えが出ることだが、そうでない人にとっては曖昧な部分だ。

「PCでいいじゃん」なんて言ってくる人にはとりあえずこう返してあげよう。
「リアルに音を操るにはOctatrackが一番だよ」

 では、リアルに音を操る魅力をいくつか紹介しよう。




レコーダートリガーを使ったリアルタイムサンプリングと再生
 Octatrackはサンプリングしながら再生することが出来る。しかもサンプリングしながら逆再生、ピッチ加工、リトリガーなんて出来るし、パラメーターロックを使えばサンプリングしながらフレーズを加工できる。

 これは簡単な例だ。
 
 説明すると、、、
 リズムはDigitaktで打ち込み直接ミキサーへ。
 xOx(右端のシルバーの箱)はOctatrackを通してミキサーに送っている。このとき、Octatrackのレコーダーを通してからxOxを再生しているってのがポイント。

 そして、
 トラック1にはベースフレーズ。
 トラック2にはエフェクトをかけたフレーズ。
 トラック3には歪ませたリードフレーズ。
 という感じにそれぞれなんと!再生を止めずに録音出来るのだ。

 これを「リアルタイムサンプリングプレイヤー」と私は呼んでいるが、これが出来るマシンは今のところOctatrackだけだろう。


 もう少しわかりやすい動画を作った。
 
 この方法だとどうしてもプツプツノイズが発生してしまうのがネックだが”変態エフェクター”のようなことが出来るのがわかる。


 同じ”留守電メッセージ”を使って加工した動画。
 
 リアルタイムサンプリングプレイヤーは工夫をすれば制作の世界が広がる。例えばトラック1でフレーズを再生してテンポを同期させたあと、そのトラックをリアルタイム録音しながらトラック2で再生して加工するなんてことも出来るわけだ。




高度なタイムストレッチ

 これは時系列で紹介すると。
 0:04でリズムをサンプリングしてループ
 0:14でベースをサンプリングしてループ
 0:41でxOxフレーズをサンプリングしてループ
 という流れ。
 そして1:00からBPMを下げているが、このときにOctatrackでサンプリングされたループも一緒にBPMが下がっているのがわかる。

 あらかじめ準備をしておけばサンプリング作業は素早く出来る。そして、設定をすればすぐにタイムストレッチが出来るのだ。もちろんピッチ変化なく。




長さの違うループを再生

 まずはBPM128で再生して半分のBPM64まで下げる。こうするとリズムは1小節(16ステップ)のあいだで2回ループすることになる。
 次にxOxのフレーズとベースをサンプリングしてBPM128に戻し、小節数を2小節(16ステップから32ステップ)にする。これでxOxは2倍の長さのフレーズを再生していることになる。(この方法はDigitaktでも出来るがOctatrackのほうが簡単にできる)




ピックアップを使ったルーパー
 このPickupってのも面白い。
 ルーパーと言ったほうが伝わりやすいと思うが、よく見るルーパーと違うところは8トラックのステレオ録音ができるところと、各トラックで長さをバラバラにしてループできるところだ。

 動画ではわかりにくいかもしれないが、0:20で最初にフレーズをトラック1でループさせて1:06ではトラック2で別のフレーズをループさせている。
 トラック1と2では別々の長さとタイミングのループを再生していることになるが、ルーパーというのは普通はこういうことが出来ない。ルーパーを2台用意すれば同じことが出来るが・・・Octatrackは8台分のルーパーを用意したのと同じことが出来る。
 これはレングスなどに縛られないAmbientを創造するのに便利だ。時間が出来たらもう少し追及してみたい。




マルチトラックDJプレイ
 OctatrackはDJマシンになる。
 2トラックをミックスするだけのDJプレイを想像しているのであれば、DJマシンになるって言われても・・・別にトラクターでいいじゃん!ってツッコミを入れるだろう。しかしここでは2ミックスの話をするつもりはない。

 動画ではトラック1、2、3で一つのループを作り、トラック5、6、7、8でもう一つのループを作っている。そしてクロスフェーダーを左右に動かすことでそれぞれのループをミックスするという設定にしているが、このミックススタイルはAbleton Liveに近い。
 途中、シーンBにハイパスを設定することでミックスに変化をつけている。

 DJミックスの設定だが[AMP]メニューを表示しているときにシーンボタンを押すと画面右下にXVOLというのが表示される。

 そしてノブを回すとMAX or MINと選べる。


 つまりこいつでシーンAとBで音を出すか出さないかを設定するってことだ。
 そしてトラック1~4はシーンAでMAX(MAXに設定しなくても大丈夫だが一応)、シーンBでMINに設定している。トラック5~8はその逆になる。こうすると4トラックと4トラックのDJミキサーが完成するわけだ。

 ただしこのままだとフェーダーの真中で音量が下がるため、このように(↓)XVOLMINに設定したシーンのボリュームを上げておくと、クロスフェーダーカーブを調整できる。
 レベルはだいたい8くらいがベストだと思うが、ハイパスなどアサインしていると音量が下がる傾向があるので私は20くらいまで上げている。

 もう一つ左上にXLVというのがあるが、こっちはフェーダーで音を切った後にエフェクトなどがかかった音も切りたいって場合に使う。つまりXVOLはプリでXLVはポストってことだ。

 最初の設定が面倒だが、設定を先にしておけばあとはスタティックで再生するループを選択するだけなので簡単だ。それにBPMをOctatrackが勝手に合わせてくれるのでやりやすい。
 しかし、DJをする人の大多数はこういったマシンに弱い。だが、もしDJプレイを別の方向で極めたいという考えが芽生えたならこのやり方を試してみるのもいんじゃないかって愚考する。







 ❚ OctatrackとDigitaktの比較

 続いてOctatrackとDigitaktの比較だが、DigitaktはモノラルだけどOctatrackはステレオサンプリングが出来るとかIN/OUTがどうこうとか・・・メーカーのホームページを見れば誰でもわかる比較は省略する。知りたい人は自分で調べてほしい。

 ここでは実際に制作やライブで両方を使ってみて気付いたことや注目したことを書く。これはOctatrackかDigitaktのどちらかを持っている人向けの比較ともいえる。上でOctatrackの魅力を書いたので、ここでは比較的ダメなところを多く取り上げるので覚悟してほしい。




【 Octatrackの表示・操作 

トリガーレストリガーの色
 そう、なんでトリガーレストリガーの色を統一しなかったのか?という疑問。Octatrackは緑でDigitaktは黄色という不思議。
 見た目だけのことなので慣れれば問題ないが・・・OctatrackとDigitaktは同じメーカーの製品なのになぜ統一しなかったのか?という疑問は残る。
 これはDigitaktからOctatrackを使い始めた人の意見だ、逆の立場ならなんで黄色なんだ?ってなるだろう。

 色以外にも操作系で細かい違いがあるので紹介しておこう。

Fill
 コンディションの設定でFillというのがある。コンディションって何?って言う人は・・・まあ、あれだ、ここの話は飛ばしてくれ。
 で、DigitaktだとFillを設定したら再生中に[PAGE]を押すことでトリガーされるようになる。このように。

 しかしOctatrackだと違う。
 上の写真から順番に説明する。
・Λ(上ボタン)を押しながら[PAGE]を押すとFillがトリガーされる。これはDigitaktと同じアクション。
・Ⅴ(下ボタン)を押しながら[PAGE]を押すとループが1周回った後にFillがトリガーされる。
Λを押しながら[PAGE]を押すと手を離してもがFillがトリガーされる。※離した後にトラックのトリガー表示が消えるのはたぶんバグだろう。解除はΛ(上ボタン)を押しながら[PAGE]を押すことで出来る。

 OctatrackのFillトリガーは使い道が多いように見える、しかし両手がふさがるというのが問題だ。ただでもパラメーター操作が多いマシンなのに他の機材も合わせて使うライブパフォーマンスにおいて、両手をふさいでまで使うこのFillにはメリットを感じない。

 例えばDigitaktと同じ[PAGE]を押すだけで反応するスタイルにし、”Fill-”と”Fill+”というコンディションを追加する。
 このとき”Fill-”は[PAGE]を押すとループが1周回った後にFillがトリガーされる。”Fill+”は[PAGE]を押すと手を離してもがFillがトリガーされ、解除は[PAGE]をもう一度押せばいい。という感じでどうだ?
 今のところDigitaktでは頻繁に使うFillだがOctatrackではまったく使っていない。


クォンタイズのON/Off
 DigitaktではRECボタンを押しながら再生ボタンを押すとライブレコーディングモードに入るが、これを繰り返すことでクォンタイズのON/Off操作をすることが出来る。
 しかし、Octatrackだとこの方法でクォンタイズのON/Off操作が出来ないのでセッティング画面で操作することになる。
 クォンタイズON/Off操作にこだわる人はいないと思うのでさほど重要でもないと思うが・・・。
 これらはDigitaktでは採用されたがOctatrackのOS更新には間に合わなかった・・・なんて私は勝手に考えている。

 どれも一見すると細かい違いではあるが、コアユーザーからすると操作系や表示の微妙な違いは若干ストレスになる。現状、OctatrackでFill(コンディション設定)やクォンタイズON/Off操作を使わないのと、ボタンの色の違いに慣れてしまったのでストレスと言うほどでもないが。






【 ライブで使いにくい理由 

 そもそもDigitaktで1年以上ライブプレイをしてきたため、頭の中が”Digitakt脳”になっているので考え方が偏っていると思う。それでもOctatrackをDigitaktのようにライブで使うのは難しい。
 実際ライブで使ったので使えないってことはないが、ここでは積極的にメインマシンとしてライブで使うことは無い理由を説明する。




トリガーが見えない。
 これはOctatrackをライブで使ってみて一番最初に思ったことだ。
 まずは動画。

 Digitaktを持っていない人でもこの動画の最初に出てくるDigitaktを見れば、どこでKickが鳴っていてベースは9番のボタン(MIDIトラック)がトリガーしていると理解出来ると思う。※1~8のトラックはDigitakt内のサンプルを鳴らすトラックで9~16はMIDIで外部音源を鳴らすトラック。
 しかし、OctatrackのMIXモードを表示しているときはどこでトリガーされているのかわからないのだ。もしかしたらトラック1で全てのトラックが鳴っているとも考えられる。
 一応、0:57から表示している”標準プレイモード”ではトリガーを見ることが出来るのだがMIDIのトリガーは見ることが出来ない。それにこのモードではトラックのミュートをするのに[FUNC]を押しながら[T1~T8]を押すことになる。これだと2本の指を使ってミュートするため両手がふさがってしまう。それに手がノブに触れたり、ねらったボタンを押すという操作がやりにくい。
 ちなみにOctatrackの画面はどのトラックでサンプルが再生されているのか常に表示されている。

 もう一度動画を見てもらえば解ると思うが、これはトリガーを表示しているがDigitaktのような点滅をしないのでわかりにくい。そしてなによりも表示が小さい。

 つまりDigitaktのようにオーディオトラックのトリガーとMIDIトラックのトリガーの両方が点滅表示されていて、オーディオ&MIDIトリガーのON or OFFを一括で制御する場所がOctatrackには無いのだ。


 なぜトリガー表示にこだわるのかは理由がある。

 私はソングを組んで作曲しないという作曲法を長年続けているが、それは何小節目に展開をするといった決まりを作るのが嫌いだからだ。
 なぜそうなるのか?という話しをするにはそもそも作曲を始めたキッカケや私の性格の話になって長くなるのでやめておく。要するに形の決まったことに従って操作するのが好きでないということだ。DAWを使えない理由はここにある。
 それに、私のライブ録画を見続けている人ならわかると思うが、基本的に同じ曲を演奏することは無い。するとしてもアレンジを加えるか展開に手を加えて変化させていることからも理解できるだろう。

 ライブ中に次の曲へ移るとき、時間を確認して予定よりも早かった場合はフェードインやフェードアウトの回数を増やしたり、エフェクトをかけたり・・・等々して曲の長さを調整している。さらに会場の雰囲気を見てどの調整パターンが最適かを判断し曲展開の構成を修正する。これをだいたい2秒から3秒くらいでイメージしているわけだが、この一連の作業を判断するにはマシンのトリガー表示が必要になる。
 Digitaktを使う前はElectribeやAcidlab Miami、xOxbOxを10年以上使い続けていた。つまり、Digitaktを使う前からこのライブパフォーマンスの基礎は構築されているのだが、その時の判断基準もトリガーだった。

 その昔、Machinedrumってのがあって・・・
 http://www.elektron.co.jp/drum-machines/machinedrum/
 こいつは左上のLED表示でどこの音源がトリガーされたかってすぐに理解できるようになっている。というかElectribeでもわかるようになっている。
 歴代の多くのリズムマシンは打ち込んだトリガーが何らかの形で見えるようになっているのだが・・・いや、MPCプレイヤーからするとそんなことない!ってなるかもしれないが、最近のMPCはパッド光るらしいぞ。

 おっと、ELEKTRONの名誉のために言っておくと、Octatrack MK1(初代)の見た目を見ればわかるが・・・そもそもDigitaktと同じボタンじゃなかったのだ。
 まあ、 ELEKTRONの社員にはミュージシャンが多くいて、常に現場の目線で電子楽器を作っているらしいからこのことには気づいているだろう?たぶん。今後のOSアップデートで変更されることを願う、なんて言うのは私の願望だ。

 しかし、このトリガーを点滅させるのが難しいなら妥協したとして・・・
 この表示を点滅させるってとこか。
 拡大したらめっちゃドット荒くなるぞ!




ミュート操作がトリガーのミュートではなく音をミュートするという違い。
とりま動画

 説明すると・・・
 最初にOctatrackのミックスモードを表示させているが、このとき再生を止めたりミュート操作をすると音が途切れる。
 次に0:30からはDigitaktで同じことをしているが、この場合は再生を止めたりミュートをしても音が途切れない。トリガーのレングスとリリースに制御されて音が消えていくのだ。(Digitaktはオーディオを直接ミュート出来ない)

 で、Digitaktと同じトリガーをミュートするというアクションは、Octatrackだと面倒だが設定をすれば出来る。それが1:00からのやつで、このモードでは1~8のボタンで各トラックオーディオを制御出来る。
 そして、各ボタンを指で押さえるとどうなるのかを説明すると、
[1][2][5] 1回押すと1小節(16ステップ)ループした後にトラックを再生する。もう一度押すと1小節後にトリガーしなくなる。
[3]  ボタンを押した瞬間トラックを再生。離すとディケイ、リリース後に音が消える。
[4]  ボタンを押すと1小節後にトリガーして2周目以降はトリガーしない(ワンショットトラック再生)。
 という感じであらかじめ設定してある。

 これはDigitaktと比べると色々と応用がきくだろうしライブで使えるんじゃないかって考えている。もちろんMIDIも同じような制御が出来る。

 しかし、設定なんてややこしいことなしでDigitaktのように簡単にトリガーをミュートするアクションがOctatrackに欲しい。
 [FUNC]+[PTN]ボタンを押すとパターンセッティング画面が出てくるが、この設定画面でトリガーミュートをON/Offするのか指定する場所を新たに作るというのはどうだろうか?





8トラックボリュームとタイトル表示の重要性
 Digitaktだと各トラックの音量を一目で見ることが出来るがOctatrackにこの表示はない。曲展開のときに8トラックボリュームコントロールを使うと便利なんだが、、、もし表示するとしてもDigitaktと違ってOctatrackはノブが7個なんだよなぁ。

 タイトル表示も重要だ。
 タイトル表示を見て今どの曲をやってるのか認識しているのも事実。
 一応、どこのバンクで何番のパターンが再生されているか見ることは出来る(左下に表示されている)。
 例えば、Aバンクの01のパターンを選んだとしよう。しかしこいつは再生するまでなんてタイトルの曲だったかわからないわけだ。イントロクイズではないが私の場合は再生したとしてもしばらく思い出すことはないだろう。
 ライブではタイトルが表示されないマシンはこのようにしてテープを貼って書くことで表示させている。Octatrackも似たようにテープを貼ることになるだろう。

 ただ、Arr Modeを表示させてあらかじめ編集をしておけば”ソング”を再生する形でタイトルを表示させることが出来る。しかし、これはひと手間が必要になる。


 ところでこんなのはどうだろうか?
 [MIX]ボタンを押すと出てくる画面でΛ(上ボタン)を押すと8トラックのボリュームが表示されるというのはどうだろうか?これをライブプレイモードと呼べばいい。
 これは私が作ったフェイク写真。
 で、ノブが7個しかないので・・・例えば下のオーディオトラックを押しながらレベルノブを回すと、押さえたトラックのボリュームをコントロールしてくれるってわけだ。このとき2つ、3つ、4つを押さえてもコントロールすることが出来るってのはどうだろう?
 MIDIトラックを抑えた場合は6つのノブでアサインされたパラメーターを変えれるってのもいいかもしれない。
 しかしこの場合はタイトル表示をどことリンクさせるかってことになるが、バンクごとにタイトルを決めるスタイルにしてそことリンクさせるのがいんじゃないだろうか。

 私だけが欲しい機能で他の人がどう思うかってのはあるが、将来的にはARRANGER(アレンジャー)を使用してライブのパターン管理をすることになるだろう。



ちょっと微妙なフリーズディレイ
 FUNCを押しながら(下ボタン)を押すとモード表示が出て一番下にDELAY CTRLというのがある。
 ここではFX2ページでディレイを選択すればフリーズディレイが使えるようになる。
 色々と設定が必要だがうまく使えばけっこうおもしろいことが出来る。
 しかし問題になるのはタイミングがクオンタイズされないってこと。つまり気持ちいいタイミングでフリーズさせたいときはきっちりとタイミングを合わせないといけない。そして、少しでもズレると頭の切れたスネアがループされるわけだ。

 KORGのKAOSS PADというのがあって、あれはBPMがあっていればどのタイミングでパッドを抑えても気持ちよくエフェクトがかかるように設計されている。たぶん技術者が頑張ったんだろう。

 何が言いたいのかって言うとOctatrack 1台だけでライブをするわけではないとき、このフリーズディレイのタイミングに集中力を削がれるのはライブでは大きく影響する。なぜなら失敗すればみっともないフリーズが披露されるからだ。
 過去にOctatrackでライブをしている人を何人も見たが、このフリーズディレイを使っている人はあまりいない。しかし、KAOSS PADはけっこう見る。なぜなら小躍りしながら適当なタイミングで押さえてもいい感じのエフェクトがかかるからだ。

 まあ、練習しろって話だが・・・およそ10分の1で買えるKAOSS PADのほうが魅力的に見える。

 そんなフリーズディレイだがとりあえずこれだけは確実に言える。
 Octatrackのライブでこのフリーズディレイを使っている人がいたら私は心の中で「やるやないか」って思う。しかしOctatrackのフリーズディレイを知らない人が聴けば「KAOSS PADと同じこと出来るんやね」で終るだろう。


  いろいろとDigitaktよりもライブプレイに向いてない点をあげたがOctatrackは簡易ミキサー、ステレオサンプル再生などライブで使える点はいくつもある。そのためライブではOctatrackをDigitaktのサブマシン的に使うつもりだ。







【 Octatrackで制作 
 ライブでは表示面で不便な点を持っているが、自宅制作においては多機能なサンプリングはすごく役に立っている。しかし、Digitaktと比べるとエディットする上での操作性は落ちる。
 ここでは制作する上での便利なところや気になったところ書く。



トラックごとに再生速度を変えることが出来る
 Octatrackでは下は1/8~上は2倍速という範囲でトラックごとに再生速度を変えることが出来る。Digitaktは同じように速度を変えることが出来るがトラックごとに変えることは出来ない。



ピッチを変えるときに再生タイムが変化しない
 タイムストレッチ機能のことで、これは最初の方でも紹介した。
 Digitaktはサンプルのピッチを変えることが出来るが再生タイムに影響する。
 OctatrackではPTCHRATEでピッチと再生速度を分けて操作できるようになっている。

 ちなみにDigitaktとOctatrackのクロマチック鍵盤は平均律で、ピッチ変化も平均律で変化する。



CFカードが最大65GBでPCへのバックアップが楽
 OctatrackとPCをUSBケーブルでつないでシステムメニューを操作すれば、PC上でCFカード内のデータを見ることが出来るが、このときバックアップを取ることが出来る。
 そして、Digitaktのそれと比べて明らかにデータのやり取りが早い。
 32Bitは読み取らないがDigitaktのようにステレオ音源をいちいちモノラルに変換しなくていいってのはけっこう便利だ。



MIDIアルペジエーター

 OctatrackのMIDIシステムの中でも注目したのはこのアルペジエーターだ。しかし、次に紹介するMIDIトリガーの使いにくさがあるのでOctatrackのMIDIトラックについては少し微妙な印象を受けている。



MIDIトラックでパラメーターロック時にノート信号が出ない
 まずDigitaktのMIDIトラックでノートをパラメーターロックで入力するとき、トリガーしたいステップ位置を指で押しながらMIDIキーボードを使ってノートを入力することが出来るが、このときMIDIチャンネルをあわせた外部音源は鳴らすことが出来る。しかし、Octatrackの場合は外部音源が鳴らないのだ。

 設定などいろいろと調べてみたがお手上げ、パラメーターロックのときにノート入力をしても外部音源は鳴らないらしい。

 私はMIDI音源から音を出して制作することが多いのでこれはけっこう致命的になっている。もちろん普通にライブレコーディングでノートをレコーディングすることは出来るのだが、例えばステップ9のコードがいまいちってときにステップ9のボタンを抑えながらMIDI鍵盤でノートを入力したとき、今おさえた鍵盤の音がどんな音なのかシーケンスを再生しないとわからないってことになる。
 1小節ループぐらいならいいが、4小節ループになると4小節待たないといけない。



サンプルの波形表示
 トラックにアサインされたサンプルが何なのかすぐにわかる波形表示は重要だ。
 Digitaktだとアサインされたサンプルの波形が表示されたうえでエディットが出来る。Octatrackでも波形を見ることが出来るが、表示されているときにADSR、LFOなどのエディットは出来ない。



エフェクトのクオリティが微妙
 Digitaktのリバーブとディレイのクオリティがすごく良かったので期待していたのだが・・・Octatrackは1万以下で買えるミキサーについてくるエフェクターよりはいいってレベルだ。良いところをあげると種類が豊富ってくらいか。




現在のページが見えにくい
 1小節しか使わないって言うなら問題ないだろう。しかし、これは2小節以上になってくると問題になる。
 ページというのはこれのことだ。
 上がOctatrackで下がDigitaktだが、どちらも3:4(3小節目)を表示させている。そしてOctatrackの表示は解りにくいのがわかるだろう。
 Octatrackで実際にページを見る時は斜め下からのぞき込んで確認しているのだが・・・そう、イラッっとくるわけだ。

 出来れば早くLEDの明るさを修正してほしいのだが?あるいは色を変えるか?
 とりあえずカルシュウムを摂取して心を落ち着かせることで対応している。






 音の比較 

 初代Octatrackの音の印象は「ん~」という感じ。
 私はElektron音は昔から好きではなかった。Digitaktで若干ましになったと感じたがそれでも違和感が少し残っている。しかし、Octatrack Mk2ではあまり感じなくなった。

 というわけで比較。
 いつも通りA6で全帯域轟音ノイズを作成し、レコーダーで録音してプレイヤーで再生する。
 それを、それぞれOctatrackとDigitaktにモノラルで外部入力から通して、メインアウトの片方のチャンネル(モノラル)をレコーダーで録音する。
 最後にDAW上のアナライザーで表示させたのがこれだ。

 原音

 Octatrack

 Digitakt

 まあ、あんまり変わらないな。
 ただ、Digitaktの変化が大きいのが気になる。

 実際、私はDigitaktの高域の妙なクセが気になっていて、サンプリングはレコーダーで録音してからPC経由でDigitaktに入れている。
 一応、言っておくがDigitaktは普通に使う分には問題ない。
 これはあくまでも私の考えだ。






 最後に 

 Octatrackについてはダメなところを多く言ったが、これはDigitaktとの比較から出てきたことだ。逆に言うとそれだけDigitaktが優秀だと言える。

 ようするに?

 おおざっぱに見るとOctatrackはDigitaktのフラグシップに見えるが、OctatrackよりもDigitaktのほうがサンプル加工を簡単に早く出来る。
 つまり、Octatrackはサンプリングすることに対して柔軟な機能が付いているのに対して、Digitaktはサンプリングした後の音加工がOctatrackよりも柔軟にかつスムーズに(早く)出来るということだ。

 2つのマシンは良い具合に住み分けをしている印象を受けているが、それぞれを表現するとこうなる。

・Octatrackはサンプリングすることに対して洗練されている。
・Digitaktはサンプリングしたあとのことに対して洗練されている。

 洗練という言い方をすると認識のズレが生まれるかもしれない。言い方をかえると・・・

・Octatrackはサンプリングするのが楽しい。
・Digitaktはサンプリングした後が楽しい。

 という感じか。





 いずれにしても制作をする上でOctatrackというのは私の中で重要なマシンになっている。ただ、操作性の面で少し詰めが甘いと感じているが、とりあえずDigitaktと使い分けをしているので問題はない。