Digitaktを導入しました。
Digitakt come to Japan. pic.twitter.com/rHEb24Eebk— Kick.S (@memory_boy) 2017年6月3日
Digitaktとはスウェーデンのシンセメーカー、Elektron(エレクトロン)が制作した8トラックのサンプラー&8トラックMIDIシーケンサーです。
https://www.elektron.se/digitakt-ja/
・最大サンプリングタイムは約33秒。
・すごく小さいです。はいxOxbOxより小さいです、いやこの比較は一般的でないか・・・。
厚さはノブの出っ張りをはずせばちょうど1Uのラックに収まるくらいです。
(細かい仕様は↑リンク先の下のほう、Digitaktの仕様を見てください)
出力がバランス対応というのは私にとってはうれしいです、なが~いバランスケーブルでも買いますかぁ。あと、DIN Sync対応(設定画面でMIDI ⇔ DINの切り替え式)なのでxOxbOxと連携できますよ。
ところで気になったのは「+Driveストレージ1GB」という内容。
サンプルネタと打ち込みデータで1GBもため込む自信ないので「ふぅ~ん」。
日本語取り説は、クイックガイドなるものをHPのサポート経由でダウンロードしてくださいとのこと。
http://www.elektron.co.jp/wp-content/uploads/2017/06/Digitakt-Quick-Guide_JP_0522DL.pdf
こちらはもう少し詳しく書いてある日本語取説。
http://www.elektron.co.jp/wp-content/uploads/2017/05/Digitakt-User-Manual-OS1.03-JA.pdf
こっちはDigitaktの8割くらいを説明している。
動画を見たほうがわかりやすいだろう、ということでこちらの動画(英語)を参考にしました。
Digitakt Sampling : https://youtu.be/0qw0K4r9BFM
Digitakt Midi Part 1 : https://youtu.be/JTnbtIK9lTg
Digitakt Midi Part 2 : https://youtu.be/edAedYGrnRM
Using external Keyboard : https://youtu.be/whRK1a02E1A
私がDigitaktを導入した日にUPされてたのですが、一通り解説してるのでもう取り説は見なくていいかも?
取り説はダウンロードしてくださいなんて時代なのだから、そのうちシンセメーカーが動画取り説なんて作る日がくるんじゃないかと?
後で紹介しますが、まだOSに不具合があるみたいで・・・。今後、頻繁にOSのアップデがリリースされるようです。
(新しいシンセってだいたいそんなもん)
ElektronのHPを毎日チェックしに行くのは面倒だなぁ、って思っていたらサポート(https://www.elektron.se/support/)の下のほうにニュースレター登録なるものを見つけました。たぶん、アップデきたらメールが来るんじゃないか?と思って登録。
(後日、OSアップデのメールが届きました)
ところで、エレクトロンといえばマシンドラムを思い出すのですが、いま見てみたらもう生産されてないのですね・・・。
http://www.elektron.co.jp/drum-machines/
アナログリズムがドドンとトップになってますよ。
ここからは、Digitaktを使ってみて気になった点や雑感などを備忘録として書いていきます。結果的にレビューみたいになってしまった。
【せっかくなのでDigitakt導入のきっかけを少しだけ】
もう2、3年くらい前からKorg Electribe MXに代わるシーケンサーがないものか探していたのですが、今年に入ってから最終的にElektron Octatrackに落ち着いておりました。
ただ、Digitaktがリリースされるという話しを聞いて、OctatrackはDigitaktを少し触ってみてから導入でいいかなぁ?という考えでいたのですが・・・結論が切り替わりDigitaktの導入となりました。implant4でポストエレクトロライブのリベンジなう。— Kick.S (@memory_boy) 2017年5月6日
Next answer. pic.twitter.com/ZzTGPtYioO
そもそも、Octatrackはシーケンサーを再生させながらサンプリングが出来るので導入を考えていましたが、Digitaktも同じことが出来るということを実際にさわってみて知りました。
DigitaktのイメージとしてはOctatrackで出来ることを少し削って簡略化されたものという感じです。
implant4ではDigitaktの購入時に操作方法を教えていただき助かりました。やはり機材をじっくり触れるお店が近くにあるというのはポイントが高いです。今日もimplant4 に来てるなう。 pic.twitter.com/nXjFJ5Xm3T— Kick.S (@memory_boy) 2017年6月4日
っと、いろいろありましたがDigitaktを導入して帰宅後にサクッと作った曲です。
極論を言いますとPCとオーディオインターフェイスがあれば同じことが出来ます。ただ、私はDAWをうまく使いこなせるほど器用ではありませんのでそれは選択肢にならないでしょう。
【OSの更新】
まずは購入したらOSの更新です。
https://www.elektron.se/support/?connection=digitakt#resources
ここからDigitakt OSとElektron Transferをダウンロード。
あとはDigitaktとPCをつないでElektron Transferを起動。
DigitaktとリンクさせたらDigitaktのSystemメニューに入りOS Upgradeの待機です。
次にPCのTransferへダウンロードしたOSをドラッグ&ドロップで終了。
そのうち、打ち込みデータやサンプルなどをPCと連携して管理が出来るソフト”Overbridge for Digitakt”が出来るみたいです。(今年中に?)
このソフトがリリースされればDigitaktはさらに面白いことになりそうです。
【Digitaktを導入してからまだ日が浅いですが、私なりに見つけた良い点・悪い点を簡単に紹介します】
〇良いところ
・シーケンサーを再生させながらサンプリングが出来る。
もともと私が制作で使うサンプラーはKorg Electribe SXだったのですが、サンプリングをするたびにシーケンサーの再生を止めないといけないというのがネックでした。
たとえば、サンプラーで作ったリズムにあわせてフレーズをサンプリングしたいという時は、頭の中でリズムを再生しながら手弾きでフレーズをサンプリングするという、、、なんとも半人力サンプリングのようなことをしていました。
しかし、Digitaktならシーケンスを再生させながらサンプリング出来るのでこの問題は解決です。
(あとで知ったのですが、Digitaktでのサンプル再生はモノラルのみでステレオ再生は出来ないみたいです。リズムマシンとして考えれば納得できるかなぁ)
・ステップごとに再生サンプルが変えられる。
これはすばらしいです、16あるステップボタンのうちサンプルを変えたいステップを押しながら[SRC]を押してDノブを回せばサンプルを変えられるのですから。どうなってんですかー?
・サンプリング後のオートノーマライズ
ノーマライズというのはサンプリングしたオーディオデータの最大音量を見つけて、音が歪まない限界まで音量を上げてくれるという機能のことです。これをいちいち操作しなくてもDigitaktではサンプリングするたびに勝手にやってくれるというもの。
これは良い・悪いで分かれるかもしれません。
私は良い方と考えています。
ただ、小さい音でサンプリングしたけれど、再生すると大きい音になるというのはあります。そのときはサンプルボリュームを下げて再生すれば済む話ですが。
・高音質サンプリング
いままで見てきたサンプラーを前提に考えますと「Digitaktをリズムマシンとして使うのは無いかなぁ」という考えだったのですが、良い意味で裏切られました。
この動画ではDigitaktにMiamiの音をサンプリングし、同じパターンを再生して聴き比べています。
Digitaktの再現性には驚かされました。
さっそく私のブログでおなじみのアナライザーに、MiamiとDigitaktの各リズムを通してチェックです。
Miami

Digitakt
多少の誤差はありますが、Miamiの音を再現しているといえます。とくにMiamiの特徴として重要な50Hz前後の超低音を再現しているところは素晴らしいです。
つまり、Digitaktはリズムマシンとして問題なく制作で使用できることになります。
おかげでいままで以上に出来ることが増えました。
ただ、あまりにも出来ることが増えてしまったため、頭が痛くなり少しの間寝込んでしまいました。
出来ることのすべてを説明するのは大変なので一つだけ例を上げて紹介します。
たとえば、MiamiのBD(バスドラ)をそのまま使用しますと緩やかなカーブを描きながら音が消えます。
(手書きイメージ図)
このMiamiのBDをDigitaktへサンプリングするときにちょっと工夫をします。リリースタイムを最大にしてDigitaktにサンプリングします。(MiamiのBDのリリースタイムはTR808の3倍のリリースタイムになる)
そして、次にステップ上で再生するときにBDのリリースをDigitaktのエンベロープでコントロールするわけですが、ADSRを使ってBDのピークを少しのばす形に加工します。
(手書きイメージ図)
何をしたいのかと言いますと、こうすることで疑似的にコンプをかけたようなBDが作れてしまいます。
この方法でMiamiのBDを使ってリズムを作りました。
単純に音量を上げているわけではなく、エンベロープを使うことで強く強調されたBDになっています。
同じことをDigitaktなしでする場合はコンプとEQを使い非常に面倒な加工をしないといけないのですが、Digitaktならサクッと出来てしまいます。
(この方法、PC制作でも使える手法なのですが?さらっと重要なことを言ってみる・・・)とりあえず、よいところはこれくらいにして次はお待ちかねの悪いところです。
〇悪いところ
・外部シーケンサーとの同期がうまくいかない。
上の動画(X1178)ではxOxbOxをマスターにしてDigitaktをスレーブ(MIDIクロックを受ける側)で再生しています。そしてDigitaktのMIDIアウトでTIをコントロールしているわけですが、再生中にDigitaktからのノート信号がTIにうまく送信されないことが頻繁におきました。システムや設定画面を見ていろいろとやってみたのですが、今のところギブアップしてます。
そんなわけでX1178の録画では何度もうまくいかず6回ほど撮り直しをしています。
最初に紹介した動画(X1176)のようにDigitaktをマスターにして、外部音源を操作するためのシーケンサーとして使うなら問題ないので、しばらくはこの方法で制作することになると思います。
・時々フリーズする。
フリーズしちゃいます。どのボタンを押しても治りません、電源を消して対処するしかないです。
そのためなのか?Digitaktにはリアルタイムに入力したデータを保存するという機能が付いています。ほとんどのリズムマシーンは保存ボタンを押さないと打ち込んだデータが保存されないのですが、Digitaktは勝手に保存してくれるのでフリーズしても大丈夫です。
まるでフリーズすることを前提にしたような機能ですがそこは突っ込まないでやってください、はい。
そういえばOctatrackが出たときもいろいろとバグがあったような気がします。
2つの悪い点はOSのアップデートで改善されるでしょう。
そうなると改善後のDigitaktには悪いところがなくなってしまいます。
無理に悪いところを見つける必要は無いのでいいのですが、もし改善されれば私の中では最良のシーケンサーとして活躍してくれることでしょう。
※(8月28日追記)OS 1.03以降フリーズの頻度が減りました。でも、まれにフリーズしちゃいますが・・・。
【マスターとしてのDigitakt】
Digitaktをマスターとして使い外部音源を操作する場合は、MIDIキーボードを使ってDigitakt経由でラック音源を操作するという方法にしています。
この方法なら、Digitaktの簡易鍵盤では無理なフレーズも録音ができるようになります。
いやぁ、ホント便利ですよ。
【Electribeと比べて、打ち込みをするときにこれは良いなぁと思ったことを2つほど】
(ほかにもあるけど2つだけ)
・打ち込んだノートを前後にずらしたいときは[FUNC]を押しながら右左の矢印キーを押すことで移動できます。これ、Electribeだとシーケンスを止めないと出来なかったことなのですが、Digitaktはなんなく出来ます。すごい!
・コピペでトラック移動
1に打ち込んだトラックデータを2に移動させたいときは、トラック1のGrid Recordingモードでコピー。トラック2に移動してペーストです。次にトラック1を選択して[TRK]を押しながらコピーでトラック2に移動してペーストで終了です。
これもシーケンス止めないで出来るのだからすごいなぁ。
【こうしてほしいなど】
たぶん、エレクトロンの方はこのブログを見に来ることはないと思いますので好き勝手に要求を書いておきます。
・エンベロープカーブ(加速カーブ・減速カーブ)の選択。
上のほうで紹介したBD(Kick)のリリース加工をするときに減速カーブがあるとうれしいです。たぶん、こんなこと考えてるのは私だけだと思うのでスルーしてください。
・フィルターの追加
当初はマルチEQがあると便利かな?っと思っていたのですが、フィルターで何とかごまかせなくもないのでバンドパスがあると便利。
ん~、EQを使う前提なら、サンプリングするときにEQを通してサンプリングすればすむ話かなぁ。でもTBもどきフィルターとかあったら使いますよ。
・数値設定で上下ボタンを使えるように。
フィルターなどのパラメーターをいじるときはいいのだけど、CCとか正確な数値を選ばないといけないときはちょっとDigitaktのノブは使いにくいです。上下ボタンなどを使って細かいところはこいつで、というふうになるとうれしい。
・リアルタイムのコード入力。
MIDIシーケンスで根音を基準に4和音のコードの打ち込みは出来るのですが、リアルタイムにコードを打ち込んでも単音のみ記録されます。
サンプリングすればすむ話しですが・・・でもMIDIだと何かと便利なので。
(追記:OSのアップデートによりコード入力が可能になりました)
・サンプルの上書き確認。
たとえば、サンプリングをしてデータとして保存するとき、もし同じ名前のデータがあった場合は、もともとあった音データが新しくサンプリングした音で上書きされてしまいます。上書きされるときは確認メッセージが出るようにしてくれるとありがたいです。
・パターンのDelete確認。
Elektronあるあるのうちの一つ。
ノリノリで打ち込んでるときにファンクションキーを押しながら・・・あっ!そして苦労して作った曲が消えてるという。
全部消していいんですか?という確認画面がほしいですよ~。
いまのところ、プロジェクトをこまめに保存して対応してます。
・サンプル再生のステレオ対応(追記6/16)
願わくば不具合であってほしいなんて考えてますが、そうでもない雰囲気。今ごろになって重大な事に気付く。Digitaktのサンプル再生はモノラルでしか出来ない。ステレオ対応してないのは仕様かな、だとすると、、、さぁOctatrackの出番です。 pic.twitter.com/cY2Tt3rDi9— Kick.S (@memory_boy) 2017年6月16日
よく見ると(L+R)ってなってますね、、、ステレオをたしてモノラルにしてるってことですか?
Digitaktをリズムマシンとして考えると、モノラルでしか再生出来ないというのは妥協点になるかなぁ。音ネタをステレオで再生したいときは、MIDIシーケンサーで対応すればいい話しだけど。
【最後に】
Digitaktを導入すればOctatrackに手を出す必要はなくなるだろうと思っていたのですが、そうではなかったです。Digitaktの性能を体感することでさらにOctatrackの可能性が増えてしまいました。
う~ん。
じゃあ、Digitaktで100曲作ってからまた考えます。
さようなら。
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