2018年5月4日金曜日

BOSS DD-500まとめ


 BOSS DD-500の紹介です。

 以前から気になっていたのですが、なんとなくさわってみたらすごかったです。そして購入しようと値段を聞いたらさらに驚きました。もう少し高くてもえぇんやでー。

 取り説はサポートページから見ることが出来ます。
 https://www.boss.info/jp/products/dd-500/support/












・・・ 電池駆動 ・・・

 ACアダプターなんてついてきません、その分安くしたのでしょう。というか何台もコンパクトを持ってる私にはセンターマイナス9ボルトのACアダプターなんて部屋にいっぱい転がってます。でも、ちゃんと規格にあったのを使わないと壊れるかもしれないので注意!

 とにかく本体を裏返すと電池を入れるっぽいフタがあって、そこに電池を入れるわけですが・・・なんと!単三電池4本です。

 6本ではありません。

 プロってだれのことなんでしょう?
 売られている電池セットはだいたい4本で充電器は一度に4本充電するタイプが多いわけです。そのため4本というのはすごくいいもんですよ。わかってますねぇー。
 そしてカタログスペックではアルカリ電池で約7時間も動くんだそうです。取り説にはアルカリ電池を使用してくださいと書いてましたが、私はとりあえずこのエネループを使ってます。





・・・ DD-500 Editor ・・・

 DD-500にはエディターなんてものがあります。この優秀なエディターはなんと!フリーで手に入ります。

 ダウンロードリンク

 取り説

 先日、TonePrintですごいんだけどなんだかなぁってなっていましたが、こちらは180度変わって完成度の高さに驚かされました。さすがRolandの名前が最初に出るだけのことはあります。


 TonePrintほど複雑なことは出来ませんが、こちらの方が各パラメーターの操作性は良いです。何度も言いますがさすがRoland!

 次に左上のタブの中で[LIBRARIAN]を選ぶとこんな感じで本体に保存されたプリセットを呼び出すことが出来ます。

 プリセット名のところをダブルクリックすると名前を変えられるってのは便利です。本体で名前付けるの面倒なんですよね。あと、ドラッグ&ドロップで作ったパッチを移動させられるのもすごく便利。ライブ用にバンクごとにプリセットを移動させることが出来るので実用的に考えられています。
 右上の[EXPORT]を押すと本体プリセットをPCに保存できます。


・エディターの問題
 そもそもエディター自体の問題。ギターをやる人ならわかると思いますが、ギターでジャーんってやってピックを持ちながらマウスをさわってグリグリするのってけっこう面倒なんですよ。TonePrintみたいにiPadに対応していて、タッチパネルに人差し指だけで操作出来るほうが扱いやすいと思うのですが・・・。
 ただFlashbackなんかと違って全てのパラメーターのエディットが本体で出来るので問題ないでしょう。ただしパラメーターを操作すればどう音が変わるかを知っている必要がありますが。
 とりあえずこのエディターを使えば本体で作ったプリセットを簡単に編集出来るのと、PCへ保存管理出来るので利便性が高いです。そして重くないです。

 最後に一言、さすがRoland!!





・・・ 音やせの話し ・・・

 初めてさわった感触としては、明らかに音やせしているというものではなく、若干サッパリしているかな?という印象でした。で、家に帰ってから聴いてみると「やっぱり音が変化してるなぁ」です。というわけで比較してみました。


 まず全帯域をカバーするノイズをシンセで作ります。(ANDROMEDA A6はホワイトノイズ、ピンクノイズ、レッドノイズの3つをあわせて出せるという変体シンセです)これをモノラルでミキサーにつなげてステレオでレコーダに送り録音。その音を各エフェクターにステレオで通してからレコーダーで録音し、その録音結果をアナライザーで表示させるというものです。


 比較対象はStrymonのTimeLineです。Delayとしてはかなり優秀なのでDD-500の比較として使います。
 ところでバイパスですが、DD-500とTimeLineにはそれぞれTrue Bypass(トゥルーバイパス)とBuffered Bypass(バッファードバイパス)を選ぶことが出来ます。True or Bufferedについては検索してみてください。ギターを使わないのであればTrue Bypass(トゥルーバイパス)で問題ないです。ただ、2種類のバイパスがあるので違いを比べてみる意味で比較しています。

 とりあえず、、、
・True Bypass(トゥルーバイパス)
・Buffered Bypass(バッファードバイパス)
・エフェクトONでドライ音のみ
 の順番でDD-500とTimeLineを比較です。

 わかりやすいように赤ラインを引いています。

 【DD-500】
 True Bypass

 Buffered Bypass


 effect on dry

 【TimeLine】
 True Bypass

 Buffered Bypass

 effect on dry

 アナライザーで見る限りDD-500のほうが全体的に歪んでるように見えます。でもDD-500のTrue Bypassは意外と優秀ですね。で、Bufferedにしたときは少し音が悪くなってるかな?という感じ。実際に聴き比べたらTimeLineの方が音がクリアに聴こえました。それにしてもStrymonの変化のなさは優秀すぎます、グラフの形がほぼ同じじゃないですか!

 そもそも私の使い方としてはミキサーのセンドリターンで使う場合が多く、直でつなげる機会があまりないのでこの件については問題ないでしょう。
 それにDD-500にはEQがついていて、PRE、FEEDBACK LOOP、POSTのうちどれかを選んでブーストやカットすることが出来ます。10kHzを2db、100Hzを広いEQで1dbほど上げれば原音に近づくんじゃないかって思ってやってみましたが、多少はましになったかなぁという微妙な感想です。音やせの話しはとりあえずこれくらいにしておきます。





・・・ ディレイ比較 ・・・

 全てのディレイを紹介すると大変なので・・・、主なディレイモード(TAPE、Analog、Digital)の3つをTimeLineと比較していきます。




 まずはTAPE(テープエコー)のプリセットの比較です。
 StrymonのTimelineの場合はシングルヘッドタイプに限定されますが、DD-500ですとRE-201、Bison Echorec2、Maestro Echoplexの3種類から選ぶことが出来ます。さらに再生ヘッド数も選べるので幅が広がります。ただしTimelineだとテープの劣化具合や再生のゆれ具合など”チューニング?”を細かくコントロールすることが出来るため、DD-500とは一味違った幅広さがあります。

 とりあえずDD-500はRE-201タイプにしてTimeLineと同じ設定で録音しました。音源はEMXのアルペジオを使ってます。


 


 聴いてすぐにわかると思いますが・・・DD-500はステレオ感(音の広がり)がないです。もともとテープエコーはモノラルなのでこれはこれで正解なんですが・・・。

 じゃあ両方ともリターンがモノラルだったらどうなるのか?というわけで録音しました。


 DD-500は若干淡い感じですがほとんど同じですね。


 テープエコーの特徴はあのテープ再生からくる歪みのようなものなのですが、これはフィードバックで発振させると違いが大きく出てきます。そういえば、もうそろそろカセットテープの音を知らないって人が増えたんじゃないですか?今思うとカセットテープの再生音はけっこう歪んでたんですよね。
 では、リターンをステレオに戻してフェードバックの確認です。DD-500はRE-201、Bison Echorec2、Maestro Echoplexと順番にプリセットを変えました。DD-500のトーン設定は0にしています。TAPEモードのときTimeLineにはトーンがありません。フィルターのようなものはありますがかかりを0にしています。

TimeLine
 
RE-201
 
Maestro Echoplex
 
Bison Echorec2

 DD-500はフィードバックの”にじみ”具合がうまく表現されています。とくにMaestro Echoplexはすばらしいですね。TimeLineと比べてDD-500は制作で使えるテープエコーです。





 次はAnalog(アナログディレイ)の比較です。
 テープのときと同様に録音しました。



 こちらもモノラルで録音しています。



 両方ともアナログディレイのフィードバックの雰囲気が上手く再現されています。あのやる気が無くなって散っていく感じのフィードバックw
 私の持っているAnalog Delayでも同じように録音してみました。


 両方ともミックスを最大にしてもドライ音が残るためセンドリターンではなく直でつなぎました。MXR Carbon Copy Brightは明るすぎるので違いますが、VOX double deca delayはモデリングに近いです。

 アナログディレイの特徴といえばやはりフィードバックの劣化具合です。フィードバックにアタックノイズや歪み、劣化が加わっていきながら消えていくのですが、TimeLineでは[FILTER][GRIT]ノブを回すことで微妙に劣化具合を調整することが出来ます。

 そのため明るい音から汚い音まで自由に再現してくれます。この点はDD-500には無い機能です。この機能を使ってDD-500の音に近づけてみました。両方ともモノラルリターンの録音です。


 フィードバックの消え方に少し違いはありますがほぼ似た感じになってると思います。若干TimeLineのほうが消え方が軽いかなぁという印象です。個人的にはDD-500のほうが好みです。次はTimeLineの明るいタイプと汚いタイプのフィードバックを順番に録音しました。


 1つ目はMXR Carbon Copy Brightほどではないですがかなり明るいですね。その次はノブを最大にして汚れた音を作りましたが、ここまでくると電池がなくなるんじゃないかって思ってしまいます。いずれもDD-500ではこの雰囲気を再現できません。





 デジタルディレイのモデリングです。
 DD-500では古いデジタルディレイ(Roland SDE-2000、SDE-3000、BOSS DD-2)を再現しています。TimeLineは[DAMAGE CONTROL Time Line]を再現しているそうです。こちらは両方ともすんなり近い音になりました。それにTimeLineのステレオ感がなくてかなり近い音になってると思います。DD-500のディレイタイプはDD-2です。



 DD-500のデジタルディレイのプリセット(Roland SDE-2000、SDE-3000、BOSS DD-2)をそれぞれを録音しました。
 
 


 アナログディレイの時と同様にTimelineでは[FILTER][GRIT]ノブを回すことで劣化具合を自由に調整出来ます。そのためDD-500とは違った表現が可能です。
 実物と比べてみたんですが、2500は3000のモデリングと近い音でした。スピーカーで聴いた限りではフィードバックのニュアンスに違いはなかったですよ。




・けっきょく?・

 結論としてはどっちもどっちなんですが・・・DD-500のほうがアナログ感はあります。DD-500が特定のアナログディレイやテープ、デジタルディレイをモデリングしたのと違ってTimeLineはそれぞれのマシンの特性をモデリングしたという印象です。TimeLineの考え方はマルチモデリングと呼びましょう。





・・・ 音の広がり ・・・

 TimeLineとの比較でさんざん出てきた「音の広がり」ですが、じゃあDD-500でステレオ感を出せばいいんじゃない?という考えが出てきました。

 っと、その前にTimeLineがなぜステレオ感(音の広がり)があるのかという話しです。メーカーに直接聞いたわけじゃないので私の推測なんですが・・・。

・TimeLineは位相がずれてるんじゃないか?

 これまた検証です。まずEMXを使ってアタックの強い音を作り、次にTimeLineのミックスノブを最大にしてアナログディレイのフィードバック音のみをレコーダーでステレオ録音しました。これをL / Rに分かれるソフトで波形として表示させてみました。

 ずれてる?といいますか波形が変形しています。アタックの強い波形を作ったので下の波形が正解なんですが。というわけで、ステレオではなくて[LEFT OUT]と[RIGHT OUT]のそれぞれ片方の音をレコーダーで録音してみました。


 やはりRIGHT OUTは角が取れて丸くなってますね。たぶんこれがTimeLineのステレオ感の本質じゃないかって思ってます。
 しかしこれ、個体差なのか、あるいは買ってから年数はたってますので劣化とかの可能性はあるのですが、それでも片チャンだけ劣化するのはあまり聞いたことはないので・・・TimeLineでステレオ感(音の広がり)がなかったデジタルディレイで同じように調べてみました。

 予想通り同じ波形です。
 やはり左右の出音を変形させることでステレオな広がりを出してるみたいですね。たぶんコーラス的なモジュレーションがかかってるっぽい。

 ヒント:TimeLineのアナログディレイをモノラルで使用するとき、そのままの音がほしいときは[LEFT OUT]で角が取れた丸い音がほしい時は[RIGHT OUT]という使い分けが出来る。



 話しを戻して、DD-500でステレオ感を出してみます。

 一応DD-500にはモジュレーションをかけることが出来て、[MOD MODE]でモジュレーションの種類を2つ選択できるわけです。比較テストではTimeLineのモジュレーションノブを0にしていたのでDD-500も0にしていました。ここで[MOD DEPTH]を回していくと広がりが出ます、ただ50以上にするととたんに違和感が出るので注意。
 Analog(アナログディレイ)で比較をします。
・SINGLE   単相のモジュレーション。

・BI-PHASE  2相のモジュレーション。


 っで、TimeLineです。
 モジュレーションをかけてみました。


 やはりTimeLineのステレオ感は優秀ですね。ただモジュレーションをかけても広がりが増えるわけではなくて、どちらかというとゆれ方が変化した印象になってます。反対にDD-500のモジュレーションは広がりの効果がわかりやすいです。
 別の方法でステレオ感を出してみました。こんな感じで片チャンにディレイを通し、取り付けたディレイの設定はミックスノブを最大にしてフィードバックとディレイタイムは最小にしています。


 2台ディレイをつなげてみました。

 2台ならいいんじゃないかなぁぁってこのセッティング贅沢だな。





・・・ サイマル・モード ・・・

 DD-500にはサイマル・モードなんてものがあります。たぶんこの機能がなければ「まぁまぁやるやないけっ!」って感じの上から目線で終わってたと思います。


 設定方法はまず[EDIT]ボタンを押してEDIT画面へ。

 [SYSTEM]を選択してEDITボタンを押す。

 下のほうにある[FSW MODE]でTIME/VALUEノブを回して[A/B SIMUL]を選択。あとはEXITを押してトップの画面に戻ると2つのディレイが表示されます。


 ここではバンクごとにあるA・Bのプリセットが呼び出されている状態になります。たとえばバンク5のプリセットのうち一つとバンク4のプリセットのうち一つを選択して表示させることは出来ません。PCエディターを使って一つのバンクに移動させれば可能です。


・サイマル・モードの設定方法

 画面左にある▼▲ボタンで2つのプリセットのうちどれかを選択できますが、どちらでもいいのでEDITボタンを押します。

 [PATCH]の下に[BANK]と表示されるのでここでEDITボタンを押します。

 ここでSERIES(直列)とPARALLEL(並列)を選ぶことが出来ます。

 OUTPUT MODEでは並列のときどのように出力するかを設定できるのですが、、、

・MIX:パッチ A と B をミックスして出力。
・A/B:
 INPUT A/MONO → パッチA → OUTPUT A/MONO
 INPUT B → パッチB → OUTPUT B

 こんな感じで選択できます。
 これ、けっこうすごいんだけど・・・



・サイマル・モードから創造するAmbient

 とりあえずサイマル・モードでいろいろと遊んでみます。音源はYAMAHAのREFACE-DXです。



 【左右に広がりを生み出すディレイ】
 設定はこんな感じ。
 CONNECTION:PARALLEL
 OUTPUT MODE:A/B

 IN OUTはステレオ入力。

 そして左右同じテープエコーにしてディレイタイムだけ変えています。(プリセット名を変えていませんがA/Bの中身は同じテープエコーです)

 
 ようするにピンポンディレイですが、こちらはタイミングを微妙にずらしただけなので左右の広がりが一味違います。テープ以外のディレイタイプに設定しても同じような効果が出せます。



 【リバーブのような広がり】
 DD-500にはTERA ECHOというディレイプリセットがあるのですが、サイマルの設定をPARALLELのMIXにして2つ重ねます。

 するとリバーブのような広がりが生まれます。



 【SHIMMERをかさねる】
 DD-500のSHIMMERはピッチディレイのような動きをするディレイで、TimeLineですとICEというアルゴリズムがこれに近いです。ただ、TimeLineのほうはDD-500と比べてかなり穏やかで広がりがあります。この点はStrymonは上手だなぁって思います。

 サイマルの設定はCONNECTIONをSERIESにします。
 次にPATCH AはSHIMMERでTYPEをOVERTONEにします。

 OVERTONEはディレイのフィードバックにオクターバーが入ったような音です。左右に広がりはありませんがここではあえて使っています。

 PATCH BもSHIMMERを選択してTYPEをPITCHにしてPS MODEをSTEREOにします。

 このSHIMMERのTYPEをPITCHにした音ですが、ちょうどSPX990にあるピッチスラップという音に近いです。あっちのほうが設定範囲が広くて強烈な音が出ますが。 

 この状態でも左右の広がりはありますが、さらに広げるためにPITCH FINEを+5と-5で左右のピッチをずらします。これでかなり広がります。

徐々にエフェクターへ通すようにして途中からPITCH BALを操作して変化を加えています。




 【ピンポン風】
 設定はパターンディレイを直列に重ねてディレイタイムを変えただけですが、2つのパターンが複雑にしてくれます。


 こちらはパターンとデュアルを重ねています。



 【もはやディレイじゃない】
 これはSFX → FILTERの順番で直列につなげました。ディレイタイムを短くしてSFXはタイプをPHASERにしてビットクラッシュっぽい感じに仕上げています。



 DD-500とREFACE-DXの2台だけでここまで音を広げられるのは面白いですね。


・サイマル・モードの注意点
 ディレイを重ねるからだと思いますが使用するパッチによってはフィードバック音が歪みます。デジタルクリップのようなゆがみで不快な音ですがシンセの入力音量を下げると解決します。たぶんギターであれば発生しない問題でしょう。





・・・ まとめ ・・・

・音質は悪くはないけどTimeLineよりは劣る。バッファードバイパスでなければ直でつないでもいいかなぁ、とりあえずミキサーのセンドリターンで使うなら問題なし。機能面ではTimeLineよりDD-500のほうが優秀で、とくにプリセットを管理できるエディターの利便性が高い。

・音の広がりの美しさはTimeLineより劣るけど、TimeLineと比べてDD-500はミックスで埋もれにくい。広がりについてはサイマル・モードで解決できるけど設定が複雑になる。MD-500を手に入れて解決するという考えもあり。一度さわってみたいですねこれ。

 使い分けるとしたらこうなります。
 音数の少ない曲:TimeLine
 音数の多い曲 :DD-500

 あと+1万円くらいでステレオ感を出して音やせの問題を解決してくれればStrymonに対抗出来るんじゃないでしょうか?いや、サイマル・モードのことを考えると十分対抗出来てる気がする。

 とりあえず1曲作っときました。